GPSの概要
(GPS測位)
GPS(Global Positioning System)は、 人工衛星からの電波を用いた位置測定システムである。
高度約20,000km上空を飛ぶ人工衛星からの1GHz帯のマイクロ波を 利用しているため、空が見渡せる場所であれば、地球上のどこでも利用する事が
できる (原理図へ) 。
GPS測位で用いられる信号には、国防用に暗号化されているPコードと民間にも利用解放しているC/Aコードの2種類がある。
民間でGPS信号を利用する機器は、カーナビゲーション装置や登山用の小型のGPSレシーバなどがある。
氷原や砂漠など目印が無い場所でもGPSを利用して自分の位置を
確認する事ができる。ただし、洞窟の中や海底など電波が届きにくい場所では
利用できない。
(GPS測量)
一方、VLBI技術を応用して測量分野での利用も活発に行なわれている。 2点間で
衛星からの電波の到達時間差を計測する事で、2点間の距離を測る事ができる。
VLBIに用いられる電波星からの信号に比べて強力な電波を利用する事ができる
ことと、GPSの衛星の電波が原子時計による精密に調整されていることによって、
2点間の距離を距離×(1〜0.1)PPM(100万分の1)程度の誤差で測定する事ができる。
上空からの電波を利用する事ができる為、見通しのない場所どうしの測量も
可能になる。(同じ衛星が見えることが条件)
(GPS測位とGPS測量の違い)
測位が地球上の3次元座標を計算しているのに対し、
測量は2点間の基線ベクトル(間の距離と方向)を計算
している点が異なる。GPS測量は精密に測定できるため,
地殻変動などの計測などへも利用されている
(GPSの歴史)
アメリカの国防総省(U.S. Department of Defense;DoD)を中心に軍事用の航法(ナビゲーション)システムを目的に研究開発がすすめられて来きた。
現在までの、航法システムとしては、デッカ、ロラン(A,C)などが
実用化されていたが、地上からの電波を利用していた為、沿岸部に限られていた。
地球全域をエリアとする測位システムとしては、長波を用いたオメガが、最近まで利用されていた。ただし、アンテナや受信機が大型になることと、
測位精度が船舶用以外では、十分ではなかった。
1993年12月にDoDが米国運輸省に正式運用開始宣言を通達したことにより民間への
利用が正式に開始された。
人工衛星を用いた航法システムの研究は、1960年年代に始まり、GPSの原型となるシステムの研究は、1970年代始めに始まった。
1980年に米国運輸省(DoT;Department of Transportation)とDoDは、軍事と民生の共用を考えたナビゲーションシステムについて、国家的な検討(FRP;the
Federal Radionavigation Plan)を開始した。2年おきにプランの再検討を行なう。
GPS以外の測位(測距)システムとして、米国で(日本もほぼ同じ)稼働しているものは、
Loran-C(long-range),Omega(World-Wide),VOR/DME,TACAN(Tactical
Air Navigation),ILS(Instrument Landing System),MLS(Microwave
Landing System), Transit,Radiobeaconsなどがある。
GPSの計画が始まって、衛星が完全に配備されるまでには時間を要した。完全配備される前は、測位に適さない時間帯があったため、航法に用いるには、特に衛星の配置に注意が必要であった。
GPS測量は、リアルタイムに結果を要求しない場合が多いため、
民間への利用は、GPS測量の分野の方が普及が早かった。
GPS衛星の電波は原子時計から作り出され、精密な測量に用いることができた。GPSの衛星においても、GPS測量のために変更された点も数多くある。
GPS衛星は、地球をまわる6つの円軌道面にそれぞれ4個の衛星を配置された
合計24個の衛星 によって構成される。衛星の高度は、約20,000kmで、約12時間の
周期でまわっている。地球上の何処からでも常に4個以上の衛星が見えるように設定
されている。
衛星の通称 NAVSTAR/GPS
衛星総数 24(2000-Jan-13 現在では、28個の衛星が運用中)
軌道の形 円軌道(離心率ほぼ0)
軌道高度 約20,000km(軌道半径約26,600km)
周回周期 約11時間58分02秒(0.5恒星日)
衛星軌道面 6面(1面あたり4つの衛星を配置)
軌道傾斜角 55°(地球赤道面との角度)
昇交点赤経 A 330°,B 33°,C 90°,D 150°,E 210°,F 270°
衛星重量 844kg
太陽電池出力 700W
測位用電波 L1帯C/A 480W(EIRP;Equivalent Isotropic Radiated Power)
L1帯P 240W(EIRP)
L2帯P 81W(EIRP) ※EIRPとは、輻射電力ことをいい、送信機出力にアンテナ利得を乗じた値をいう。
基準発信器 10.23MHz セシウム原子周波数標準(原子時計)2台、安定度10^-13
ルビジウム原子周波数標準2台
予備水晶発信器
送信アンテナ 12素子ヘリカルアンテナ(衛星の真下よりも周辺にビームを向ける)
衛星の設計寿命 7.5年
人工衛星の見える角度と時間帯
現在すでに実用されているもの)
単独測位(軍事利用以外は、L1帯1波、C/Aコード受信機による)
軍事利用 作戦の効率化、砂漠、ジャングル等の行動の確実化
航空機,艦船の航法,ミサイルの誘導,
(潜水艦での利用は不可)
宇宙利用 人工衛星やロケットの自立的な軌道追跡(低軌道衛星のみ)
民間利用 船舶,漁船の航法,作業船の位置決定
列車、トラック、タクシーの各種作料等の運行管理
土地、地形、植生、災害等の調査(GIS)
一般市民 カーナビゲーション、登山、プレジャーボード(魚探との組み合わせ))
軍事利用 航空機、鑑船の精密航法、ミサイルの誘導 宇宙利用 宇宙飛翔体のランデブー・ドッキング(Rendezvous-docking) 低軌道衛星での利用に限定される 民間利用 船舶の接岸、海洋作業船の精密位置決定 航空機の自動離着陸(試験段階) 土地、地形、植生、災害等の調査 一般市民 精密カーナビゲーション(GPeX,VICS等)
基準点測量 電子基準点(三角点)として利用。 公共測量 地籍測量 工事測量 工事現場での基本的な測量、逆打ち測量、土盛り、切り取り土量管理等 構造物の変形観測 ダム、橋梁等の変形連続観測(瀬戸大橋への利用) 地球物理観測 地殻変動観測、地震予知、火山噴火予知、地球回転観測
国家標準時の維持 原子時計の管理 国際原子時の運用 原子時計の国際比較(GPSが全世界的な原子時計の比較を可能にした) 精密科学技術への利用 精密時刻同期への利用
GPSを利用したカーナビゲーション機器の低価格化に伴いますます普及すると思われる。 ジャイロセンサ装置等との組み合わせによる自律慣性航法装置(オートナビゲーション)などへの応用も検討されている。
類似のGPS応用としてロボットへの利用が考えられている。無人のヘリなど
つかった農薬の散布、宅配、自動追跡、犯罪操作への応用が考えられている。
参考にしたサイト:
米国政府は、公式に2005年までのL1帯C/Aコードの一般無料利用を保証している。これは、米国製のGPS機器を全世界に普及させGPS関連産業を振興した方が全体としてより米国の利益になるという計算があるためだと思われる。
SAを解除して測位精度が向上させるという噂もあるが、今後の国際情勢しだいである。(その後、2006年までに、解除させることが約束された!)
→ 2000年5月1日13:00(JST)にSA解除!
アメリカでは,GPSがシステムとして整ったとして,LORANの運用を,中止した(日本では,しばらく利用することが決まっている).GPSは,アメリカ国内でも民間利用が広まっていることもSA解除の要因の一つであると考える.
(EU to launch homegrown satellite navigation
system)
ヨーロッパでは独自の測位システム(GALILEO)についても研究が進んでいる。
こちらは、2008年の運用目指している。EUのGALILEOやロシアのGRONASSのは,アメリカだけに依存しないGNSSシステムを作ろうとしている.アメリカはEUに対して,GALILEOをGPSと類似システムをつくることを条件に,技術提供することを約束しようとしている.GPSのマーケットを2つに分けないことによって,アメリカは利益を確保しようというのがねらいである.
日本でもいくつかの省庁において検討されている.
主にアメリカのGPSの精度を補完するシステムが提案されている。
日本のメーカの代表的な製品は「カーナビ」である.おもに地図への表示,ルート探索,その他の付加機能に力点がおかれている.
チップセットを作っているメーカもいくつかあるが,そのノウハウは,あまり教えてくれない.(あるのかないのかもよくわかならい.私には)いまさら測位方法について研究してもなぁって,感じである.
中国は,独自の衛星を打ち上げる計画をもっている(すでに打ち上げた?じつは私が,詳しく知らないだけ.).
お隣の韓国では,国家を挙げたプロジェクトとしてGPSをとらえており,主に大学を中心とした研究が進んでいる.メーカもいくつかがんばっており,主に北米市場向けの製品を作っている.
ほんとに,勝手な想像です. 10に1つと思って読んでください.(^^ゞ
Revised: 06/Jun/2001 (first published in
May, 1999), by Hiroki Irie